咲くやこの花館高山植物室には、数は多くないもののバラの原種や原種に近い系統の鉢植え展示があります。園芸品種とは異なる素朴な花姿に加え、古い系統を維持しながら紹介している点も興味深く、2026年5月2日に観察した個体を記録としてまとめておきます。咲くやこの花館の高山植物室は、ヒマラヤ、中国、日本、ヨーロッパ、アメリカなどの地域に分け、なるべく自生地に近い環境を意識した展示を行っています。
ロサ・リカルディ
Rosa × richardii
ロサ・リカルディは、非常に古い系統に属するバラで、現在は Rosa × richardii の名で扱われます。Kew では人工交雑種として Rosa gallica × Rosa phoenicia の式を示し、RHS でも正名として掲載されています。また Rosa sancta は同系の別名として広く用いられています。
花は一重の五弁花で、白から淡いクリーム色を基調とし、花弁の縁にごく淡い桃色を帯びます。今回の写真でも、やわらかな白地にうっすら紅を含む花弁と、中心に密に集まる黄色い蕊がよく目立っていました。原種系の中では花径が比較的大きく、簡潔な花形でありながら上品で見応えがあります。
分類上は純粋な原種ではなく、古い原種交雑種として扱うのが適切です。樹形についても、強いつる性というよりは、低木状に育ちながら枝をやや長く伸ばす性質として整理する方が無理がありません。RHS では small shrub rose、Trees and Shrubs Online でも低く開いた株姿として説明されています。
2026年5月2日に咲くやこの花館高山植物室で見た個体は、鉢植え展示ながら整った花を見せ、静かな品格を感じさせました。古い系統で情報は多くありませんが、こうしたバラが高山植物室で維持展示されていること自体に意味があり、保存的な展示としても印象に残る一株でした。



※表示は園芸品種となっていますが、原種交雑種でネットでは「原種(Sp)」となっていますが、原種交雑種として記載しています。 2026.5.2