咲くやこの花館高山植物室には、数は多くないものの原種バラの鉢植え展示があります。園芸品種とは異なる素朴な花姿に加え、原種系統を維持しながら紹介している点も興味深く、2026年5月に観察した個体を記録としてまとめておきます。咲くやこの花館は、高山を含む多様な気候帯の植物を栽培展示する施設であり、高山植物室では自生地に近い環境を意識した展示が行われています。
ロサ・ブルノニー
Rosa brunonii
ロサ・ブルノニーは、ヒマラヤ周辺から中国西部にかけて分布する原種バラです。Kew では受容種として扱われ、原産域は北東アフガニスタンから中国、ミャンマー北部に及ぶとされています。成長形は liana とされ、長く枝を伸ばす大型のつる性原種です。
花は白色の一重咲きで、細めの花弁と黄色い蕊が軽やかな印象をつくります。房状にまとまって咲くため、満開時には白い花が枝いっぱいに広がり、原種でありながら華やかな景観を見せます。HelpMeFind でも白花で房咲きし、やわらかなムスク香をもつ大型種として紹介されています。
この種は Himalayan Musk Rose や Himalayan Musk Climber の名でも知られ、ムスクローズ系の香りを備えることでよく知られています。また、1820年に Lindley により公表された種で、園芸史の上でも古くから認識されてきた原種です。記載のとおり、後の園芸品種にも影響を与え、ポールズ・ヒマラヤン・ムスク・ランブラーの親系統として語られることがあります。
2026年5月20日に咲くやこの花館高山植物室で見た個体は、鉢植え展示でありながら枝をよく伸ばし、白い小花をまとまって咲かせていました。写真でも、細い枝先に軽やかな花房をつける姿が確認でき、伸長力の強い原種らしい雰囲気がよく出ています。高山植物室でこのような大型の原種バラが維持展示されていることにも、保存展示としての意義を感じます






2026.5.20 咲くやこのはな館高山植物室